うちの雌の柴犬 ココは今年で6歳になる。
もうすぐ発情期が来るので何とか交尾をさせて子供を作りたいと思っている。
その子供も雌を買い、その子供にも子供を産ませたい。
私は死ぬまでココの血のつながった柴犬と一緒に暮らしたいと思っている。それくらいココが好きだ。
飼い主のその気持ちはココにも伝わるようである。
寝室に入ってみるとココが私の布団で気持ち良く寝ていた。
ココ、そうかお前は私のにおいのついた布団が好きなんだな。
お前も私の事が好きなのか。なんてかわいい。かわいい柴犬なんだ。
私はココを抱きしめたくなる。いつもの事だ。
暑い日、寝室は早めにエアコンをつけている。我が家の代々伝わる家訓「冷房代だけはケチるな。」の教えに従っているからだ。
部屋に入るといつものようにココが私の布団で寝ていた。
駄目だよ、ココ。私の事がそんなに好きでもそんなに布団で寝ないでくれよ。
ちょうどココの食事の時間になったのでココが布団から起き上がり、エサを食べに行った。
ココはどんな気持ちでこの布団に寝ているのだろうか?
そんな思いで、ココが寝ていた場所に横になってみた。
私は初めて、その時に気づいた。
その場所は、エアコンの風が一番気持ちよく当たる場所だったのである。
あれ?
少し不安になったが私は頭の中でそれを否定した。
ココは私が好きなのだ。だから私の布団で寝ているのだ。
決まっているじゃないか。ココはいつも私のにおいに包まれていたいのだ。だから私の布団で寝ているんじゃないか。
ココご免、お前を疑ってしまって。こんな飼い主を許しておくれ。罪悪感でいっぱいになった。
翌日、また気持ちよくココは布団で寝ていた。
私は、ためしにエアコンのスイッチを切ってみた。
ココはすぐに立ち上がり、どこかに消えて行ってしまった。
おしまい。