先日、女房が友達と外食をして帰ってきた時の事、

「○○さんの家では、朝、旦那さんが家からでるまで、ものすごく気を使うんだって。なんせ、男は外にでたら7人の敵がいるのだから、精神状態を安定させて朝、仕事に送り出すそうよ。」と言った。

私はこの言葉を聞いて衝撃を受けた。

「7人の敵」

欲しい!!!私も7人の敵がどうしても欲しい!!!

私はというと、常にお客様の現場に車で伺い、仕事をして帰る毎日だ。なかなか7人の敵に会う機会がない。というか、もしかしたら人生で一度も7人の敵に会った事がないかもしれない。

これではだめだ。男という者、外に出たら7人の敵がいてこそ一人前だ。このままではだめな男で終わってしまう。

私にとって、7人の敵は、人生の憧れとなった。

外に出るたびに、私は周りを見渡し、いつ7人の敵が襲ってきても大丈夫のように心のなかの日本刀の房に手をかけているような状態でいるのだが、なかなか襲ってこない。

もしかしたら、私はこのまま7人の敵と会うことなく、人生を終えてしまうのだろうか?一流のビジネスマンになる事なく、一生を終えてしまうのだろうか?

不安でいっぱいになってきた。

そのうち、7人もいらない。せめて一人で良い。敵に遭遇したいという思いになってきた。

先日、自転車に乗っていたら、警官にすごく注意された。言い方がものすごく陰険で少し頭にきた。まあ悪いのは私なのだが。

その時私は「今、私はもしかしたら敵に遭遇したのか?」と思い、家に帰って女房に確認してみたら、「それは敵ではなくおまわりさんでしょ?」と言われてしまった。

ガックシ。

敵。敵。なんという心地よい響きであろうか。欲しい。どうしても欲しい。どこかに敵はいないのだろうか?

もうノイローゼ状態であった。

家に帰ると、子供がやっていたスーパーマリオのゲームが中断の状態でTV画面に映っていた。

久しぶりに、ウイーのコントローラーを握り、私も懐かしい気持ちでゲームをやってみた。

なかなか難しい。私はどんな時も真剣勝負、一生懸命な男である。ちなみに、業務用エアコンクリーニングの時もですよ!!(笑)

長い時間、その戦いは続いた。だって、難しいのだから。。。。しかし私はついにやった。この歳で、なんとステージをクリアしたのだ。

やった、やった。私はついにやり遂げたのだ。エアコンのよく効いたリビングで私は叫んだ。

すると女房が私に言った。

「お父さん、敵いたじゃない。敵。  クッパよ! よかったね~!!」

おしまい。